遠くに行けば行くほど、長くすればするほど、旅ってお金がかかりますよね。
しかし、本を読めばまるで著者の視点で旅をしている気分を味わえます。
さらに今まで知らなかった世界を知り、あなたの人生を変えてしまう。
旅本・冒険本はそんな力をも持ちあわせています。
私もある本を読んだことがきっかけで、47日間の四国八十八ヶ所歩き遍路に旅立ちました。
この記事では、私がおすすめする旅本・冒険本5冊を紹介し、それぞれ好きな文章を一つずつピックアップしたいとおもいます。
アルケミスト 夢を旅する少年 / パウロ・コエーリョ
あらすじ
羊飼いの少年サンチャゴは、2度も同じ夢を見た。
それはエジプトのピラミッドにお宝が隠されているという夢。
そのお宝を見つけるために全ての羊を売り払い、エジプトのピラミッドを目指して旅に出る。
アンダルシア平原を出発し、アフリカの砂漠を越え、老人や錬金術師に出会い、その旅を通して少年は人生の知恵を学んでいく。
印象に残った文章
彼らは今まで慣れ親しんできたものと、これから欲しいと思っているものとのどちらかを、選択しなければならなかった。少年は風の自由さをうらやましく思った。そして自分も同じ自由を手に入れることができるはずだと思った。自分を縛っているのは自分だけだった。
アルケミスト 夢を旅する少年 / パウロ・コエーリョ=著 山川紘矢+山川亜希子=訳
引用に対する個人的感想
たとえば仕事に行きたくないと思っているとします。
「それって本当に仕事にいかなきゃいけないですか?」
社会人としてどうかと思う、、、という問題は置いておいて、物理的に「仕事に行かない」という選択が取れるはずです。
ドライブに行ってもいい。好きな人に会いに行ってもいい。ずっとやりたかったことをやってもいい。
そして無断欠勤したとして、好きでもない職場の人間たちにどう思われようと本来どうでもいいはずです。
それでも行きたくない仕事に行くのは、コンフォートゾーンを出るのが怖いから。
要するにビビってるだけ
結局人間は変わらないほうがラクなんですよね。
しかし、夢や目標、成長などは必ずその恐怖の先にあります。
そして重要なのは、この恐怖の領域は一時的であるということ。
そこを乗り越えさえすれば、ワクワクや達成感が待っています。
深夜特急 / 沢木耕太郎
あらすじ
時は1970年代前半。
著者はこれまでのライターの仕事をすべて投げ捨て、「インド・デリーからイギリス・ロンドンまで乗合バスを乗り継いでいく」という旅を決行する。
インド・デリーへの航空券は、途中で2箇所に降り立つことができたので、マカオ→バンコクを経由することにした。
本書は、その旅路を記した稀代のノンフィクション。
印象に残った文章
実を言えば、この手のジュースは香港にもあったのだが、その時は私もなんとなく手を出しかねていた。薄汚れたコップが幼い頃から学校などで叩き込まれた衛生観念のアレルギーを引き起こしていたのだろう。しかし、バンコクで、あまりの喉の乾きに耐えられず一杯を飲んでからは、むしろ病みつきになった。前の客が飲んだコップを盥(たらい)の水をくぐらせるだけで洗うということにも抵抗感を覚えなくなった。旅に出て鈍感になっただけなのかもしれないが、それ以上に、またひとつ自由になれたという印象の方が強かった。
深夜特急2 / 沢木耕太郎
引用に対する個人的感想
「またひとつ自由になれた」という部分にとても共感しました。
著者ほどの体験ではないですが、四国遍路のとき初めて寝袋ひとつで野宿した時、おなじことを思ったのを覚えています。
普段は屋根があり、壁があり、ベッドがあり、布団があり、電気があり、虫もいなくて、、、、
めちゃくちゃ快適な環境で寝ていたことに気づきます。
しかし、寝袋野宿を経験し、衛生観念のアレルギーを乗り越えると、「生きられる世界が広がった」という喜びが待っていました。
いつかわたしも著者と同じような、そしてもっと過酷な体験をし、より世界を広げ、自由になれたらいいな。
表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 / 若林正恭
あらすじ
10代の頃から生きづらさを感じ続けていた著者は、大人になってからつけた家庭教師から新自由主義という概念を学び、自分を悩ませていたものの正体に気づく。
では、それ以外のシステムに生きる人間はどのような顔をしているのだろう?
その疑問から、芸人として多忙を極める中、社会主義の国キューバを訪れる。
そしてモンゴルで馬に乗り草原を駆け巡り、アイスランドで無秩序な花火を浴び、そこで著者は何を思ったのか。
印象に残った文章
ぼくは旅先でほぼ叶えられる可能性が無いであろう「では、また」が好きだ。
僕は絶対この先ふとした時にこの人のことを思い出すだろうから、その時用の「では、また」なのだ。
表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 / 若林正恭
引用に対する個人的感想
これ読んだ瞬間
めっちゃわかるぅぅぅ〜〜!!!!
こんな感じで大共感してしまいました。
旅先で出会った人のなかのほとんどの人は二度と会うことがないとおもいます。
(もちろん一部の人はこれから先も繋がっていくのですが…!)
しかし、出会わないとしても思い出す人がたくさんいます。
名前すら忘れても、顔も思い出せなくても、
あのとき話したこと、その人がしてくれたこと、自分が感じたこと。
それはちゃんと覚えているし、今の私の考え方や生き方に影響しています。
もちろん日常でもそういうことは起こりうるのだけれど、旅先という非日常だからこそ、いつもと違う景色や匂いや気候と相まって、印象に残りやすいのだとおもいます。
極夜行 / 角幡唯介
あらすじ
科学の進歩により、地球上において地理的未踏な場所はすでになくなってしまった。
そんな時代に、探検というものは成立するのだろうか。
そして著者は、「極夜」のなかに根源的未知の可能性を感じる。
過去に4ヶ月以上もの極夜を旅した記録はほとんど見当たらない。
太陽が昇らない暗闇の世界、極夜の果てに昇る太陽をみた著者は、何を思うのか。
印象に残った文章
私には、短い人生の中で三十五歳から四十歳という期間は特別な時間だという認識があった。なぜなら体力的にも、感性的にも、経験によって培われた世界の広がりという意味においても、この年齢がもっとも力の発揮できる時期だからだ。
極夜行 / 角幡唯介
引用に対する個人的感想
世の中には「年齢なんて関係ない」とか「今からでも遅くない」という耳障りのいい言葉が多用されますが
ぼくはそれは嘘だとおもいます。
たとえばこの著者のような冒険を、60歳過ぎてから知識と経験すべてゼロベースで挑戦しようとした場合、それは死にに行くだけです。
貧乏海外バックパッカーなんかも、40歳50歳を過ぎてから始めようとした場合、不衛生さや腰の痛みなどの不快感が旅の楽しさを上回ってくるでしょう。
この引用の通り、多くの人にとって体力、経験、感性、(+経済面)のバランスが取れた全盛期というのは、この年齢(35〜40歳)あたりになることは想像に難くありません。
もちろん個人差はあります!
大事なのは、いま何をすれば、その体験から最大限なにかを吸収できるのか。
年齢によって、同じ体験から吸収できるなにかの量の最大値は確実に変わります。
私はもうすぐ27歳。
20代でしかできないことに集中しています。
そして30代、アラフォーになったとき、20代での経験を活かして、自分が選んだ生き方の最高到達点を表現できたらいいなとおもいます。
旅をする木 / 星野道夫
あらすじ
1978年、当時26歳だった著者が初めてアラスカに降り立った。
本書は、アラスカに魅了され、アラスカを愛した著者が、先住民族、自然、生と死を通して、その生活を短い33篇で綴っている。
印象に残った文章
子供の頃に見た風景がずっと心の中に残ることがある。いつか大人になり、さまざまな人生の岐路に立った時、人の言葉ではなく、いつか見た風景に励まされたり勇気を与えられたりすることがきっとあるような気がする。
旅をする木 / 星野道夫
引用に対する個人的感想
この本は僕が旅をするきっかけになった一番特別な本です。
「僕もこんなふうに生きたい」
そういう思いで四国八十八ヶ所歩き遍路に始まり、いろんな土地へと旅をしています。
引用した文章では、子供の頃と限定されていますが、20代になってから見た風景も同様に未来の自分を支えてくれるとおもいます。
四国で見た景色、石垣島で見た景色、屋久島で見た景色。
それぞれが今の自分に、そしてこれからの自分に、勇気や励まし、そして幸福を与え続けてくれると信じています。
まとめ:読書は旅だ
- アルケミスト 夢を旅する少年 / パウロ・コエーリョ
- 深夜特急 / 沢木耕太郎
- 表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 / 若林正恭
- 極夜行 / 角幡唯介
- 旅をする木 / 星野道夫
今回紹介した旅本・紀行文はもちろんですが、小説や自伝などあらゆるジャンルの本は疑似的な「旅」だと思っています。
小説は、空想の世界の旅。自伝は、著者の人生の歩みを共にする旅。
なので、旅が好きな人は読書を好きになるポテンシャルがあると思っています。
ぜひ今回紹介した本から読書の沼にもハマってほしいなぁ〜!