わたしが読書を始めたのは22歳頃。
それまで好きではなかったけれど、読書の必要性に迫られ読み始めました。
しかし今では読書が大好きに。
暇さえあれば本を読み、読み終われば「次はなにを読もうかな♪」とワクワクする。
10代の自分が知ったら驚きすぎて発狂するほど、本の虫になりました。
なぜかって?
それは私の人生を変えるきっかけを与えてくれたからです。
この記事では、読書初心者でも読みやすい、けれど人生を変えるほどの名著3冊紹介します。
夢をかなえるゾウ1 / 水野 敬也 著
インドの神、ガネーシャがうだつの上がらないサラリーマンに課題を与え、人生を成功に導いていくストーリー。
課題と言っても難しいものではなく、「靴を磨く」「募金をする」「トイレ掃除する」のような誰でもできそうなものばかり。
ただ、その行動の裏に深い意図があります。
※注意
この本は、課題を実際にやりながら読むことで感じ方が大きく変わります。
ただ読むだけでは、効果が半分の半分以下になると個人的に思います。
課題が出されたら、次に読み進まず、実行に移してみてほしいです。
全部で29コの課題があり、どれも人生を変えるために重要な課題。
なかでも私が行動に移してよかったと思う課題を4つ紹介します。
課題 : 決めたことを続けるための環境を作る
「YouTube・SNS見すぎるのやめる!」「これから毎日走って痩せる!」「毎日30分読書する!」などなど
私だけでなく、あなたもたくさんの意識改革を行ってきたと思います。
しかし、その改革がうまくいったことがあるでしょうか?
いわゆる三日坊主で終わったことがほとんどでしょう。
気づいたらSNSを開いたり、YouTubeやNetflixで動画をダラダラと見続けている坊主頭の自分がいるでしょう。
いや、三日坊主だからって本当に坊主にはならんから。
本書でガネーシャは、”「人間は意識を変えることはできない」”と言います。
これは先述したとおり、あなたも納得できるのではないでしょうか。
では、何なら変えられるのか?何を変えれば人生を変えられるのか?
それは「環境」です。
- YouTube・SNSを見てしまうなら、アプリをアンインストールする、またはスマホを人に預ける。
- 毎日走りたいなら、「私は毎日走ります」と人に宣言し、走らなかったら罰金制度をつくる。
- 読書を続けたいなら、カフェに行くときに本しか持たない。
などなど
とにかくそうせざるを得ない環境を作ること。
自分の意志なんか信用してはいけません。
課題 : 人の長所を盗む
すべてのものは模倣から始まります。
日本語を話すこと、歩くこと、箸をもつこと。
赤ちゃんは親のやることを真似て成長していきます。
しかし、大人になるとどうでしょう。
変なプライドが邪魔をして真似ることを嫌がります。
例えば、プライドが高い人は自分のやり方にこだわります。そういう人は仕事ができません。
英会話の勉強もいい例です。
勉強法はもうすでにYouTubeなどに出回っています。
それでもいつまでたっても話せるようにならない人がいます。
それもやはり、自分のやり方に固執しているから。
なにごとも素早く上達する方法は、人の意見を聞き入れたり、やり方を真似することです。
本書もたくさんの本を参考にしたり、偉人のエピソードを借用したりしています。
だからこそ名著と呼ばれる本になっているのです。
しかし、なんでもかんでも真似すればいいわけではありません。
真似をしすぎると、パクリや盗作で訴えられてしまう可能性もあります。
だから大事なのは、「本質を真似ること」。
売れているあの商品は、消費者のどういうニーズを満たしているのか。
成績のいい営業マンは、顧客のどんな本能を刺激しているのか。
普段から一流の人やサービスに触れたりすることで、そこから盗めるものはないか意識したいものです。
課題 : やらずに後悔していることを今すぐ始める
あなたは命をかけてでもやりたいことはありますか?
ないと思います。私もありません。笑
ある方は素晴らしいです。ぜひその夢を叶えていただきたい。
ほとんどの人は自分のやりたいことはなんなのか考え続けていると思います。本書の主人公もそうです。
しかし、そこでガネーシャは厳しい一言を言い渡します。
やりたいことを見つけるための一番ダメな方法、それは「考えること」。
この台詞は刺さりました。
要するにやってみなきゃわからないということです。
そして「やらずに後悔していること」をやるべきだと言います。
やりたいことをやれという言葉はたくさん言われていますが、それはたくさんの人が後悔して生きているからです。
昔好きだった子に今から連絡してもいい。
どうしても行きたかったところに今行ってもいい。
どうしても欲しかったものを今買ってもいい。
よくよく考えてみると、昔諦めた夢でも案外できそうなことも多いかもしれませんよ。
課題 : 応募する
嫌われる勇気 / 岸見 一郎
心理学の三大巨頭と称される精神科医アドラーは、多くの患者さんを診ていくなかで考えたことをまとめました。
それがアドラー心理学。言い換えるなら「幸せに生きるための心理学」。
一般人の私たちがアドラー心理学をまともに学ぼうとすると、決して簡単ではありません。
しかし、それを日本人の著者が、青年と哲人の対話方式を用いてわかりやすく説明するのが、本書「嫌われる勇気」。
哲人とは哲学者という意味です。
哲人は「どうすれば悩みを解決し、幸せの人生を生きることができるか」を、アドラー心理学の考えのもと青年と対話します。
その中には、なかなか飲み込みがたい話もあり、青年は「詭弁だ!」と激しく感情的に反論する。
アドラー心理学を知らない方は最初、青年側に立って読み進めていくことになるでしょう。青年は私たちの思ったことを代弁してくれます。
しかし、哲人はゆっくりと穏やかな調子でその反論を諭します。
後半になるにつれ私たち読者は、いつのまにか哲人側に立っていることに気づきます。
アドラー心理学の考えを受け入れ、心が少し軽くなっているでしょう。
私が本書を読んで、感銘を受けた考えを3つ紹介します。
【目的論】で人は変われる 過去は人生に影響しない
人々は、あらゆる結果には原因があると考えます。
例えば
- 実家が貧乏だから進学できない。
- 過去にいじめられてたから、人間関係をうまく築けない。
- 身長が低いからモテない。
しかし、アドラー心理学は過去や環境で人生が決まるという原因論を否定します。
代わりに、アドラーは目的論というものを提示します。
先ほど例に出した、「過去にいじめられていたから、人間関係をうまく築けない」というのは原因論の考え方。
一方で目的論では、「(傷つくのが怖いなどの理由で)人と仲良くしたくないから、いじめられた経験からトラウマという感情を作り出している」と考えます。
これはとても共感しました。
私自身、両親が離婚した経験があります。母子家庭だったため、中学から大学にかけてひもじい生活を余儀なくされました。
「お金さえあれば女の子とデートできるのに」「お金さえあれば旅行に行けるのに」「お金さえあれば幸せになれるのに」
すべてお金を言い訳にしてなにもできずにいました。
それは10年以上積み重なり、「私の人生がうまくいかないのは貧乏のせいだ」と思うように。
しかしこの本を読んで、「周りからの同情をもらうために、貧乏という状況を作り出している」自分に気づくことができました。いつのまにか悲劇のヒロインを演じていたのです。劣等感を持ち出すことで特別であろうとしていたのです。
過去の経験をどう意味づけするかで人生は変わります。
「大切なのはなにが与えられているかではなく、与えられてものをどう使うか。」
人は生まれを選ぶことはできないというのは事実。「あんな境遇に生まれたかった」と思う気持ちは誰にでもある。
だけど、後天的に新しいライフスタイルを選ぶこともできる。
それでも人は変われないのは、自らに対して「変わらない」という決心を下しているから。
いろいろと不満はあったとしても、「このままのわたし」でいることのほうが楽であり、安心なのです。
では変わるにはどうすればいいのか。それは、変わろうとすることで生まれる不安に打ち勝つ”勇気”を持つこと。
アドラー心理学はその勇気を私たちに与えてくれます。
【対人関係】は、競争から降りると楽になる
これを読んでいるあなたも、競争には苦しめられてきたのではないでしょうか。
大学受験、就職活動、営業成績などなど。
私がいた研究の世界では、人より業績を出さなければ研究資金を得られませんでした。
人は生まれてからずっと競争にさらされているのです。
みなさんがとても優秀な人間なら幸せになれるのかもしれません。いつも学年1位の成績だったらちやほやされて楽しいでしょう。
しかし、全員がそうなれるわけではありません。競争社会では1位とそれ以外に分けられてしまうからです。
「貧乏」は、資本主義社会のなかで負け組と捉えられることが一般的です。
その状態から抜け出すために、すこぶる勉強をがんばりました。結果、大阪大学に入学することができました。
そのまま卒業し就職すれば、それなりにお金を稼いで飯を食っていくことができたでしょう。
しかし、この本を読んで気づいたのです。いや、読む前にも薄々気づいていたのかもしれません。
「私はだれと戦っているんだ?人よりお金をもつことになんの意味があるんだ?」
私の「相対的貧困」という劣等感は、アドラー心理学に言わせると健全ではありません。
健全な劣等感とは、他者との比較のなかで生まれるのではなく、「理想の自分」との比較から生まれるもの。
対人関係の軸に「競争」があると、人は対人関係の悩みから逃れられず、不幸から逃れることができません。
誰とも競争することなく、ただ前を向いて歩いていけばいいのです。
今の自分よりも前に進もうとすることにこそ、価値がある。
【自由】になるために承認欲求を否定し他者の課題を切り捨てる
お金があれば自由になれるかと言われれば、そうではないと答える人が多いのでしょう。
そこにはきっと「対人関係」という問題が残ります。
では、対人関係のなにが渡し足しの自由を奪っているのでしょうか?
それは「承認欲求」です。アドラー心理学では、他者から承認を求めることを否定します。
私たちは、他者の期待を満たすために生きているのではありません。
「自分が自分のために自分の人生を生きていないのであれば、いったい誰が自分のために生きてくれるだろうか」
他者からの評価ばかりを気にしていると、最終的には他者の人生を生きることになる。
自己中心的に生きろと言っているわけではないです。
ここで重要になる考え方が「課題の分離」です。これができるようになることで、
この課題は自分の課題なのか、それとも他人の課題なのか、それを見分けることで他者の人生ではなく、自分の人生を生きられるようになります。
誰の課題かを見分ける方法は「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」を考えること。
対人関係に苦しんでいるなら、まずは「これは誰の課題なのか?」を考える。そして課題の分離をする。
自らの生について、あなたにできるのは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」、それだけ。
他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを怖れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。つまり自由になれない。
タイトルの「嫌われる勇気」とは、自ら嫌われにいくのではなく、嫌われることを怖れないという意味なのです。
自分の中に毒を持て / 岡本太郎 著
タイトルと岡本太郎の表情から、少し不気味さを感じる。なにか危険な思想を植え付けられそうな、まさに「毒」のようだ。
しかし、初めて読んだとき私は、「毒」ではなく「炎」のような熱さを感じた。
活字の羅列にもかかわらず、映像で見るアントニオ猪木や松岡修造を超える熱さがこの本には宿っている。
本書を読めば、今という瞬間瞬間を全力で生きたくなってくる。本書を最後まで読みきれないほどに活力が溢れ出してくる。
ぜひその熱さを実際に読んで感じて欲しいのですが、僭越ながら私が感銘を受けた岡本太郎イズムを3つ紹介したいと思います。
迷ったら、危険な道に賭けるんだ
人は毎日、毎時、毎分、毎秒、大なり小なり、選択に迫られながら生きています。
一方は無難で見通しのついた道。もう一方は危険を感じるような道。
危険な方を選べば、この先どうなってしまうのだろう。不安がよぎる。
しかし、惹かれるのは危険な道だ。
岡本太郎氏は、「迷ったら、危険な道に賭けるんだ」と言います。
命の危険や不安を感じているときに人は生を感じることができる、と。
日本の社会では、「長いものには巻かれろ」「出る杭は打たれる」という考えが常識です。
独自な表現や調和を乱すような主張をすると、社会から排除されてしまいます。
だから大人になるにつれ謙虚になり、世渡りばかり上手くなっていく。
しかし、岡本太郎氏は「不遜だ」と一蹴します。
自分の能力を試そうともしないで、勝手に自分は無能だと決めつけ、安全な道を選んでしまう。
たしかになにか特別な自分になろうとするのは怖い。
危険に賭けて失敗した人がいたり、危険に賭けないほうがいいと助言をくれる大人もいる。
「自分自身の生きるスジは誰にも渡してはならないんだ。」
不安に怯える自分に打ち勝ち、気持ちを貫くべきだと主張します。
アントニオ猪木氏も、引退スピーチでおっしゃっていました。
この道を行けば どうなるものか 危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし 踏み出せば その一足が道となり その一足が道となる 迷わず行けよ 行けばわかるさ
アントニオ猪木の引退スピーチより
岡本太郎氏とアントニオ猪木氏は「己に打ち勝つ」ことを信念に掲げ生きており、なにか共通点を感じます。
出る釘になれ
岡本太郎は、「出る釘は打たれる」ということわざを例に出し、幼少期を語ります。
小さい頃から尖っていた太郎少年は、当時通っていた小学校の教育システムに疑問を持ち、小学1年生のあいだになんと3回も転校しています。
「出る釘になれ」
だけどあえて出る釘になる決意をしなければ、時代は開かれない。
確かに辛い。だけど、「危険な道に賭けろ」のところで言ったように、その痛みこそが生きがいなのだ。
でもここで疑問がでます。
「それは岡本太郎だからできるんじゃないですか?」と。
しかし、岡本太郎はその考えも否定します。
自分には才能がないとか頭が良くないなんて考えるのはごまかしであり、自分がやらない口実にしているだけだと。
アドラー心理学の目的論と同じことを言っている、、、!
やろうとしないから、やれない。それだけのことだと一蹴します。
考え方が逆。
岡本太郎だからそういう生き方ができたんじゃなくて、そういう生き方をしたから岡本太郎になったんだ。
社会の型にはまらず、孤独を飼いならし、己に打ち勝ち、自分として純粋に生きたから岡本太郎になったんだ。
これを読んだとき、尾崎豊の歌詞を思い出しました。
僕が僕であるために勝ち続けなきゃならない。
第二章ではとにかく「出る杭になれ」と繰り返します。
その言葉を読むたびに、自分の中の釘が少しずつ確実に出てくるのを感じます。
強く冷徹なハンマーが降りかかるだろう。だけど、どうかその釘を引っ込めないでほしい。
無目的に生きろ ”芸術は爆発だ”
岡本太郎といえば、太陽の塔に加えて、「芸術は爆発だ」という言葉で有名だ。
爆発というと、大きな音を立て、物が飛び散り、人々の命を脅かし、恐ろしいイメージがある。
しかし岡本太郎が言う爆発は全く違うものだ。
全身全霊が宇宙に向かって無条件にパーッとひらくこと。それが「爆発」だ。
本書では「無条件」、そして「無目的」という単語が多く使われます。
人間本来の生き方は無目的、無条件であるべきだ。それが誇りだ。死ぬのもよし、生きるのもよし。ただし、その瞬間にベストをつくすことだ。現在に、強烈にひらくべきだ。未練がましくある必要はないのだ。
岡本太郎は、今現時点で、人間一人ひとりが本当の意味で生きているのか、疑問に思っている。
社会のベルトコンベアーに乗せられ、ただ惰性で生活をしているというのは、本当に生きているとは言えない。
だから瞬間瞬間に自分を開いて生きていけと繰り返す。
死をもおそれず、その瞬間にベストを尽くすこと。
無目的にふくらみ、輝いて、最後に爆発する。それが人間本来の生き方なのだ。
まとめ
この記事を書くために、3冊とも改めて読み直したのですが、やはり自信を持っておすすめできます。
どの本も伝え方は違えど、内容に重なる部分もあります。そして確実に、あなたの人生を変える力を持っています。